「のぞみ」

 

 

冷たい雨が しとしとと

ホームに降り注ぐ

 

『のぞみ』の肌に

都会の汚れた雨が

黒い筋を作る

 

窓ガラスに割れたような

水滴が流れ

ここだけは汚れもない

 

夕方

四時五十五分発の電車は

やっと今

博多から着いたというのに

また後戻りする

 

今日最後の仕事は

千百七十五キロを

心臓破りのように走る

重労働だ

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