「叡山鉄道」

 

叡山鉄道が

市原を過ぎる頃

瓦屋根の家々を左に見て

電車は緑の森に入り

二ノ瀬駅で

行き違いの電車を待った

 

この冬雨の中

窓ガラスの曇りを手ではらい

残った柿の木や

もう遅くなった

もみじの紅に目を移す

 

杉の森を抜けると

赤い橋を右手に望む

貴船口

 

もみじはいよいよ紅を消しかけ

雨に曇ったトンネルのような

杉林を通り抜けると

そこが終点

鞍馬の駅だ

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