「鉄屑の港」
屑鉄は山のように
港の線路端に積まれる
赤々と錆び付いたものが
原型をとどめること無く
解体され
何処の誰かがわからないまま
雨ざらし
この鉄の残骸の山は
年々高くなり
それと共に
錆の輝きも増していく
日曜日ともなると
港には子どもたちが竿を持ち
自転車に乗ってやって来る
この放置され
錆びた鉄屑の前を
すーっと走りすぎるとき
人間に使われ捨てられた物達の
声が聞こえてくるようだ
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